論語の知好楽を英語で言うと

ふと、ある論語の一節は英語ではどう言うのだろうかと思った。その一節とは、しばしば「知好楽」と呼ばれるもので、「子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者」である。読み下すと「子の曰わく、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」となる。日本での一般的な解釈は「知っているだけの人は好んでやっている人にかなわない。好んでやっている人も楽しんでやっている人にはかなわない。」と仕事やその他のことへの取り組み方を述べている、というものである。
quote好きな英語文化には既に定訳が存在するのではないかと思って探したら、以下が定訳のようだ。Wikiquoteの孔子のページやその他のところに載っている。

The Master said, "They who know the truth are not equal to those who love it, and they who love it are not equal to those who delight in it."

「之」を「the truth」としている。これは上記の解釈とは合わない。論語のこの文の前後を見ても「之」が「the truth」だとは思えない。なんてことは孔子研究家の間ではもう何百年あるいは千何百年前に決着が付いているのだろうが、そういう議論はインターネット上では見つけられなかった。
更に探すと「論語を読む」というウェブサイトのこのページに以下の英訳があった。日本人が書いたサイトなので、上記の解釈に沿った訳になっている。

The master said, "The persons who only know it do not exceed those who like it. The persons who only like it do not exceed those who enjoy it."

私には、引用符の中の部分を以下のようにするほうがいいように思える。「do not exceed」だと超えないということで、同等にはなり得ることになってしまうからである。また、主語をthe personsとするよりoneとするほうがそれらしくなるように思う。

One who only knows it is no match for one who likes it. One who only likes it is no match for one who enjoys it.