ダビデとゴリアテ

David and Goliath: Underdogs, Misfits and the Art of Battling Giants (English Edition)

David and Goliath: Underdogs, Misfits and the Art of Battling Giants (English Edition)

力付けられる本だと思った。
導入の章は、聖書にあるダビデゴリアテの物語の紹介と解説である。その物語では、大男の兵士ゴリアテを羊飼いの少年ダビデが倒す。その時代の武器に投石器があり、それは元々 羊飼いが羊の群れを誘導したり害獣を追い払うのに使う道具で、羊飼いのダビデその名手であった。一方、ゴリアテは視覚に障害があって投石器に狙われている状況をすぐには把握できず、その上 重い鎧を身に付けていて身軽には動けず、投石器の名手との戦いで負けるのは必然だった。
続く各章では、一見有利な状況が実は有利ではない事例や、不利な状況が有利な状況を生み出す事例、絶対的とも言える強さを持つ側が弱い側に勝てない事例などが紹介される。たとえば読書障害(dyslexia)を押して法律を学ぶことを通じて、非常に優秀な弁護士になった事例が紹介されている。もちろん、読書障害が必ず優秀な人を生み出すはずはなく、受刑者の中で読書障害を持つ人の割合は一般よりもずっと高い。一方で、成功した起業家の中で読書障害を持つ人の割合は一般よりもずっと高い。
ということで、この本は、自分が不利な状況にあるとき、これを乗り越えることで、自分の強みが生まれるかも、と思わせてくれる。そのように力付けてくれる。そして、圧倒的に有利な状況にあるときでも、油断しないように注意を喚起してもくれる。