ブライスのパラドックス

IT ConversationsNetworks - The Science-Spanning Disciplinesと題する講演を聞いた。講演は表題が示すとおり広い範囲に渡っていたのだが、交通における(Braess' Paradox)が紹介されていて、それが興味深かった。講演で使われたスライドがここで見られ、その44・45ページが、そのパラドックスの説明図である。パラドックスの内容を説明しておこう。

地点1から地点4に至るのに地点2を通る経路と地点3を通る経路があるとする。

 /2\
1   4
 \3/

そして地点2から地点3に至る新たな経路が加わったとする。

 /2\
1 | 4
 \3/

交通量は同じでも場合によっては新たな経路の導入により平均所要時間が増えることがあるというのがパラドックスの中身である。
これは理論だけではなく実際に起こっているそうだ。ドイツのシュツットガルトで市の真ん中に道路を作ったら交通事情が悪化して、その道路を廃止したと言う。また、ニューヨークで42番街をデモのために閉鎖しても特に混雑は発生しなかったと言う。
更に同じ現象はインターネットの通信量についても観測されているそうだ。