Andrew Morton

IT Conversationsで表題の講演を聞いた。Linuxカーネルの開発でLinus Torvaldsに次ぐ地位にあるAndrew Mortonの講演である。表題のリンク先でMP3ファイルがダウンロードできる。
印象に残っているのは以下の点である。

  • Linuxカーネルはモジュール化が進んでいて、多数の個人グループが半ば独立に開発を進めている。
  • Linuxカーネルプログラマのかなりの部分はRedHadやSUSEといったLinuxディストリビューションの会社や、その他自らの製品にLinuxを使っている会社に雇われている。
  • 以前はカーネル開発コミュニティは安定版カーネルのリリースもしていたが、現在それはRedHatSUSEといった会社がおこなうことにして、LinusやAndrewはそれはしていない。以前はリリース用にブランチを作っていたのだが、今はやっていない。RedHatSUSEは、ある時点の開発版カーネルを元に入念なテストをはじめとするリリースエンジニアリングをおこなってリリースする。
  • オープンソースのプロジェクトの多くは少人数のグループで進められている。Linuxカーネルのように多くのプログラマが関わっているプロジェクトは稀である。他にはKDEGnomeがある。KDEGnomeLinuxカーネルと同様モジュール化されていて、複数のグループが半ば独立に作業を進めている。

Tim O'Reillyがオープンソースについて語る際に、モジュール化アーキテクチャの利点を強調していたのと符合する。O'Reilly氏はモジュール化アーキテクチャオープンソースソフトウェアの信頼性の高さや柔軟性、進歩の速さの理由であるとしている。
モジュール化は大規模な開発では必ず必要なのだが、オープンソースだとそうしないと大規模な開発は絶対にできないのでそうなるということでであろう。それとちゃんとしたアーキテクチャを設計できる人材に恵まれているということもあるかも知れない。
その他若干気になったこととして、オープンソースへの貢献はほとんど北米とヨーロッパ、オーストラリアからで、日本からはないことはないが非常に少なく、中国・韓国からはまったくないと言っていた。