中国のインターネット事情

上海に10日ほど滞在して感じたことです。普通に使うと・・・

  • よく言知られていると思いますが、twitter.com, facebook.com, youtube.com, blogspot.com (Blogger) はまったく繋がらない。
  • Google MailとGoogle CalendarGoogle Map、Google Readerは使えるが、Google Docsは使えない。
  • amebloやfc2blogのブログで繋がらないものがあった。
  • ウィキペディアは日本語・英語ともに見られるが、書き込みはできないのかも。表示に不自然に時間がかかる。画像は見えない。
  • asahi.comwatch.impress.co.jpは普通に見えた。
  • Google検索は強制的にセーフサーチ強になり、解除しようとしてもできなかった。でもURLに&safe=offと付けたら回避できた。
  • Google検索のキャッシュにはアクセスできない。
  • *.bing.comに行くとcn.bing.comに飛ばされる。
  • Al Jazeeraにもアクセスできない。

Torは最初は使えましたが、しばらくしたら使えなくなりました。安心して動かしっぱなしにしていたのがいけなかったのかも。必要最低限のとどめていたらずっと使えていたかも知れません。
中国で生まれ育った人で技術に明るい人に、インターネットのアクセス制限についてどう思っているか聞いたところ、特に不自由は感じていないとのこと。制限を回避するのは違法ではないとのことでしたが。まあ、中国国内でいろいろそろっていますからね。ユーザーも大量にいますし。その人は海外在住の経験はないからかも知れません。
外国人で長期滞在している人の中には、出身国とか香港とかにサーバーをレンタルしてそこで自前プロクシーを動かし、そこまではSSH等で繋いでいるという人がいました。結構な期間そうやって使い続けているようです。
CISCO関係者から直接聞いたところでは、CISCOの製品が中国政府に使われていると同時に、CISCOの優秀な技術者がかなり中国政府に雇われているとのこと。これも良く知られたことでしょうが。

2009年12月22日に見つかった沖縄核密約の文書は議事録ではなく覚書

「AGREED MINUTE TO JOINT COMMUNIQUE OF UNITED STATES PRESIDENT NIXON AND JAPANESE PRIME MINISTER SATO ISSUED ON NOVEMBER 21, 1969」と題する文書が見つかり、報道されています。そして朝日新聞読売新聞はこれを「合意議事録」と呼んでいるのですが、誤訳だと思います。minutesと複数であれば議事録なのですが、単数でminuteとした場合は、覚書です。そもそも文書の内容からして、議事録ではなく覚書です。その密約文書の全文は例えば、ウィキペディアの「日米核持ち込み密約問題」のページに掲載されています。
朝日新聞・読売新聞ともに社内に議事録はminutesと複数形になるということを知る人がいないとは思えません。そして、あの文書を議事録と呼ぶのに違和感を覚える人がいないとも思えません。しかるに、12月23日付けの社説でも朝日新聞読売新聞ともに「合意議事録」と呼んでいます。報道機関は事実確認を行っていると思うのですが、外国語がからむとそれが弱くなってしまうということなのでしょうか。そして/または「合意議事録」という言葉がニュースの出所から発せられてそれを朝日も読売もそのまま使ってしまったということなのでしょうか。

2009年12月25日追記

Compact Oxford Dictionary, 11th Editionでminute(3)の語義は以下のようになっています。

  1. (minutes) a summarized record of the points discussed at a meeting.
  2. an official memorandum.

他の辞書でも議事録の意味では必ず複数形になっています。

Windows 7でキー配置変更

私はずっと英語キーボード*1Windows XPを使ってきた。キャップスロックはコントロールキーとして動作し、右AltキーだけでIMEのon/off、という設定をしていた*2。そこでVistaを飛ばしてWindows 7を使い始めるに当たってもそう設定しようと思った。
いろいろ試した結果、レジストリ設定でキーの入れ替えを行ない(私の実際の設定は後述)、右AltだけでのIME on/offはAutohotkeyで対応した。以下その詳細を述べる。
キーの入れ替えのためにWindows XPではAltIMEを使っていたので、それをWindows 7にインストールしてみたが機能しない。Vistaでは管理者として実行すればいいということだったが、Windows 7では管理者として実行してもキーの入れ替えが起こらない。
次にAutohotkeyを試してみた。とりあえずキャップスロックとコントロールキーの入れ替えを例にしたがって設定してみた。するとキャップスロックを打鍵するとコントロールキーが押されたままの状態になってしまう。キャップスロックのロックの動作が残っているのである。単純にCapsLock::Controlと指定するだけでなくそのほかの考えられることを試してみたがだめだった。
キャップスロックをコントロールキーにできないのではしかたがないので、あきらめてレジストリ設定で対処することにした。しかし、右AltキーのみによるIME on/offはレジストリ設定では対応できない。レジストリ設定で行えるのはあくまでキーの入れ替えで、英語キーボードに存在しない半角/全角キーが押されたようにすることはできない。別の言い方をすると、レジストリ設定で行なえるのはキースキャンコードの変更で、英語キーボードデバイスドライバーが半角/全角キーに対応するスキャンコードを持たない以上、レジストリ変更ではどうにもならない。
右AltキーのみによるIME on/offはAutohotkeyでは対応可能である。「RAlt::vkF3sc029/vkF4sc029」とするとよいという指摘がネット上で見られる。これは右Altを押すとが右Alt+バッククォート(`)が押されたようにしている。私はそれより「RAlt::vk19」が素直で良いのではないかと思う。vk19は半角/全角キーに相当する。Windowsではキーボードの打鍵でスキャンコードが発生し、それがさらに仮想キーコード(VKey code)に変換される。英語キーボードでAlt+バッククォートを押したときにはvk19が発生しているので、それを発生させてやればIMEがon/offする。
これで万全かというとそうではなく、インターネットエクスプローラー(IE)で右Altを押すとIME on/offがされると同時に、Altキーが押された状態にもなる。IEは通常のアプリケーションとは違う形でキーボード入力を処理しているようである。これに対処するため、レジストリ設定により右Altキーで発生するスキャンコードを特別なものとし、Autohotkeyでそのスキャンコードによりvk19が発生するようにした。具体的には右Altキーでスキャンコードe0, 59が発生するようにレジストリー設定を行ない、Autohotkeyではsc159::vk19とした。
更なる課題として、リモートデスクトップ接続の先でも右AltキーだけでIME on/offが行ないたい。キー入れ替えのレジストリ設定がされている接続元でAutohotkeyを止めて、接続先でAutohotkeyを同じ設定で動かせば目的は達成できる。リモートデスクトップ接続でキースキャンコードはそのまま伝わるからである。しかし、接続元のAutohotkeyを動かしたり止めるのは面倒である。Autohotkeyはウィンドウごとに動作を変えることができるのでリモートデスクトップ接続ではvk19を発生させずにスキャンコードがそのまま送られるようにすればよい。リモートデスクトップ接続のウィンドウのクラスをこのツールで調べたら「TscShellContainerClass」と分かったので以下のようにした。

#ifWinActive ahk_class TscShellContainerClass
sc159::sc159
#ifWinActive
sc159::vk19

リモートデスクトップ接続のことだけを考えるのであれば以下でもよいのだが、ほかにも例外を設ける余地を残すために上のようにしている。

#ifWinNotActive ahk_class TscShellContainerClass
sc159::vk19

たとえば、リモートデスクトップ接続に加えて、「foobar」というタイトルのウィンドウでもvk19の代わりにsc159が送られうようにするためには以下のようにする。

#ifWinActive ahk_class TscShellContainerClass
sc159::sc159
#ifWinActive foobar
sc159::sc159
#ifWinActive
sc159::vk19

ちなみに、私が使っているキー入れ替えのレジストリ設定は以下の通りである。

Windows Registry Editor Version 5.00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Keyboard Layout]
"Scancode Map"=hex:00,00,00,00,00,00,00,00,09,00,00,00,1d,00,3a,00,38,00,1d,00,\
  29,00,38,00,01,00,29,00,3a,00,01,00,53,e0,5d,e0,5d,e0,1d,e0,59,e0,38,e0,00,00,00,00

これは以下の入れ替えを行なう。

入れ替え元 入れ替え先
Caps lock LControl
LControl LAlt
LAlt `/~
`/~ ESC
ESC Caps lock
App Delete
RControl App
RAlt sc e0, 59

おまけ

私が入手したWindows 7のPCはDell Studio 15という機種なのだが、上記のような設定をしたあともキャップスロックのキーを押すと、それはコントロールキーとして動作しているのにもかかわらず画面右下に大きくキャップスロックの状態表示が出てしまっていた。コントロールキーを多用する私には、これは非常に目障りで何とかしたかった。調べたところDell独自のQuickSetというプログラムがその表示を行なっていることがわかった。そこで、それを停止させ、起動時にも実行されないようにmsconfigで設定を変更した。
QuickSetはキー操作で画面の明るさや音量を変更したときにそのことを画面に表示することも行なっており、有用なのだが、キャップスロックの表示だけを止めることはできないのでしかたがない。そして、QuickSetが動いていなくても画面の明るさ調節や音量調節は行なえる。
Studio 15は出荷時の状態でキーボード最上段のファンクションキーをF1とかF5などのキーとして使うにはFnキーを押しながら操作するようになっていた。Fnキーを押さないと画面の明るさ調整や音量調整になってしまう。これでは私には不便極まりないので、BIOSの設定で、Fnキーなしではファンクションキーとして動作し、Fnキーを押すと画面の明るさ調整などが行なえるようにした。

2009-11-17追記

Autohotkeyの設定をsc159::vk19sc159とすることで、条件設定をすることなく、リモートデスクトップ接続で望んだ結果が得られることが分かった。結局、vk19sc159.ahk (.ahkAutohotkeyの設定ファイルの拡張子。拡張子がそうであればファイル名は何でもいい)というテキストファイルに「sc159::vk19sc159」の1行を入れ、そのファイルを起動すればよい。言うまでもなく前提はIME on/offに使うキーがスキャンコードe0, 59を発生していることである。

*1:厳密には米国仕様キーボードなのだが英語キーボードと呼ぶほうが分かりやすいと思い、そう記述している。イギリス仕様も「英語キーボード」だがそれはポンド記号があったり右のシフトが遠くて好ましくない

*2:IME on/offという頻繁に行なう動作を1つだけのキーで行なうことに慣れたら、そうでない状況は我慢ができない。

Can't Remember What I Forgot/私が何を忘れたか、思い出せない

Can't Remember What I Forgot: Your Memory, Your Mind, Your Future

Can't Remember What I Forgot: Your Memory, Your Mind, Your Future

私が何を忘れたか、思い出せない―消されゆく記憶

私が何を忘れたか、思い出せない―消されゆく記憶

この本は記憶と痴呆に関する科学ルポルタージュである。筆者がラジオ番組(どの番組だったか探したが分からなかった)に出演しているのを聞いて面白そうだったのでAmazon.comで原書の電子版を買ってKindle for iPhoneで読んだ *1。以前読んで本ブログで紹介したCarved in Sand(邦訳 記憶力を伸ばしたい!)と似ているが、「Can't Forget...」は脳科学者への突っ込んだ取材が主で記憶力強化の体験報告はまったくない。Making a Good Brain Great(これも以前、本ブログで触れている)を含めて記憶/脳関係の本は3冊目ということになる。振り返ってみると、以前読んだ2冊は読まなくても良かったと思う。そして、この本の核心は以下の通り。

  • 加齢による記憶力の低下と、アルツハイマー病は脳内の別の場所で起こっていて、メカニズムも違う。分子レベルでのメカニズムも解明されつつある。
  • 加齢による記憶力の低下は、海馬(hippocampus)にある歯状回(dentate gyrus)で起こっていていると考えられる。そこでは神経細胞新生が起こっている。そして歯状回ではRBAP48というタンパク質がタンパク合成を制御していて、加齢とともにRBAP48の生成は低下する。同時に、加齢により歯状回での神経細胞新生が低下することも分かっている。しかし、RBAP48が神経細胞新生に関わっているとはまだ確認されていない。
  • 有酸素運動は歯状回で神経細胞新生を促すことが確かめられており、また、有酸素運動は人間の記憶力を高めることも確かめられている。
  • 薬剤で人間以外の動物の記憶力を高めることはできているが、人間の記憶力を高めると確認されている薬剤はない。
  • アルツハイマー病は海馬傍回(parahippocampal gyrus)の嗅内皮質(entorhinal cortex)でレトロマー(retromer)という物質が阻害されることで起こっていると考えられる。ハツカネズミのレトロマーを阻害することでアルツハイマー病と同様の状態を起こせることは確認されている。しかし、レトロマーが働くようにしてアルツハイマー病を治療することはまだできていない。
  • これらのことの解明にコロンビア大学のスコット・スモール(Scott Small)が率いる研究チームが多大な貢献をしている。スモールは分子、細胞、脳組織、臨床すべてのレベルを考慮することで大きな成果を上げることができた。

筆者は執筆の過程で加齢による記憶力低下とアルツハイマー病が克服される日が近いと感じるに至り、そう番組の中で述べていた。

*1:今はもう普通に買えるかも知れないが、以前はちょっと工夫が必要だった。

海賊の「ビジネスモデル」

Planet Moneyというポッドキャストの4月22日配信の回で、ソマリアの海賊の「ビジネスモデル」を紹介していた。

  • 海賊団を組織するには15万米ドルから25万米ドル必要。
  • その資金で、高速船や武器(AK47ライフルやロケット弾)を調達し、構成員を雇う。
  • 海賊団の運営は構成員への食事の提供等、商船の運用と同様のもろもろが必要。
  • 情報収集が必須。インド洋を闇雲に探しても獲物は見つからない。貧しい国の人を人質にとっても身代金は得られない。アメリカ人を人質にとると米軍に攻撃される危険がある。
  • 武器の扱いや、操船は誰にでもできるわけではなく、雇った構成員を訓練しなければならない。
  • 貨物船を襲って得られる身代金は100万米ドルから200万米ドル程度。
  • 身代金の30%は出資者に、20%は見逃してくれている政府関係者に、残りを構成員で分ける。
  • 構成員は役割ごとに分け前が違っていて、獲物を威嚇・攻撃して乗り込む人が最も多くを貰い、乗っ取った船で監視しているだけの人の分け前は少ない。
  • 成功報酬は最も分け前の少ない人で1000米ドルほど。ソマリアの平均年収は500米ドルに比べれば十分に高い。
  • 出資金に対する利回りはかなり高いと言える。
  • 身代金が現状より大きく高くなることはない。高いと船主は払おうにも払えず、払ってもらえなければ海賊の意味がない。また、身代金が高くなれば、高い身代金を払うよりは、自衛にもっとお金を使ったほうがましということで、自衛手段が強化され、襲うことが難しくなってしまうから。

迷惑メールの送信は商売として行われており、経済的側面が大きいのと同様に、海賊行為も経済的側面が大きいのだろう。どちらも経済的に成り立たないようになるまではなくならないように思える。暴力団もたぶん、つかまる危険性・量刑・収益との兼ね合いでやることを決めているのだろう。

そろばんで負の数は補数を使って表す

そろばんの3級以上の勉強をした人には当たり前なのだが(私は4級が受からずにやめた)、引き算の結果が負になる場合、そろばんでは補数で表していることを「Soroban のヒント」で知った。計算機では2の補数を使っているのに対して、そろばんでは10の補数とでも言うべきものを使っていると言える。補数を使っているから、負の数になってからも足し算も引き算も普通にやればいい。負の数になっていることは上位の桁に9が並んでいることで分かり、それを数字として書き出すのも難しくない。たとえば999345は-655を表す。
計算機の概念として補数を説明するのに、このことが使えるかも知れないが、いまどき果たしてそろばんの使い方を知っている/覚えている人はどれくらいいるのだろうか。

ナン・チャパティ・ロティ

日本で食べるインド料理にはナンが付き物なので、インド人はナンを日常的に食べると長らく思っていたが、違うようだ。ナンと同様 小麦粉で作った、より素朴な「チャパティ」のほうがずっと一般的だとのこと。職場にインド人が何人かいるのだが、その人たちがそう言っていた。中には、「日本に来るまでにナンは2回しか食べたことがなかった」と言う人も居た。ナンとチャパティの違いは…

チャパティのほうがずっと簡単に作れるはずで、実際、職場のインド人も自宅で作って食べているそうだ。
ところで、シンガポールには南インドから移住した人の子孫がかなり居るので(タミル語公用語の1つになっている)、シンガポール料理にはその影響がかなりある。職場の近所のシンガポール料理店でカレーを食べたときに「ロティ」という薄い円形のパンを食べてみた。そこのロティはバターが生地に練りこんであって、薄い層が幾つもあり、クロワッサンの生地を円形に伸ばしてフライパンで焼いたような感じだった。ロティと名が付くものを食べたのはそれが初めてだったので、ロティというのはそういうものかと思ったが、そうではないようだ。シンガポールに限らずその周辺でもロティは食されていて、多くの場合クロワッサンのようにはせず、普通に小麦粉をこねて伸ばして焼くだけのようだ。
Googleで「roti recipe」を検索してみたら、ロティの作り方を紹介しているビデオがみつかった。これは私が知っているチャパティそのものだ。とても分かりやすくて作ってみたくなった。

職場のインド人にこのビデオを見せたら、彼のチャパティの作り方と同じだそうだ。更に、チャパティとロティの違いを聞いたら、ロティは伸ばしてからたたんでまた伸ばしてということをして生地が何層もになるようにしてから焼いたものだそうだ。ビデオに出演しているインド人はそうでないものをロティと呼んでいるのだから、チャパティとロティの区別は人によるということにはなるだろうが。
また、日本に居るインド人はビデオに出てきたようなチャパティを焼くための鉄板をインドからもって来ているとののこと。普通のフライパンでも焼けなくはないが、やはり専用のもののほうが鉄の厚みがあって具合がいいとのだそうだ。
また、タミルナドゥ州(インド南部)出身の別のインド人によると、インド南部ではチャパティやロティは常食というわけではなく、米を常食としているそうだ。彼の家ではチャパティを食べるのは月に何度かで、やはりチャパティ用の鉄板を持っている。そして彼はロティとは呼ばずにパラタ(paratha)と呼ぶ。彼の出身地では夜になるとパラタの屋台が出ているとのこと。インドでも南部以外ではチャパティやロティを常食としているようであるが。