Googleのサーゲイ・ブリンへのインタビュー

IT ConversationsでGoogleの創業者の1人サーゲイ・ブリンへのインタビューが配信されている。Web2.0会議でのものだ。
印象に残ったやりとりの意訳:
Q: (現在に至るまでの経緯を聞かれた中で以下の発言があった)
A: スタンフォード大学でインターネット検索について信じる道を突き進んで(follow our heart)研究を進めた結果、便利に使えるものができた。その技術を使った検索サービスを大学でおこない、オープンソースにすることも考えた。しかしサービス提供には大規模な計算資源が必要で、そのためには収入を得る必要があるので会社を作ることになった。
Q: 夕食の席でYahoo!のTerry SemelがGoogleの技術を高く評価する発言をしたあと、「自分の見積もりではポータルサイトとしてはGoogleは第4位だ」と言っていた。
A: (第4位だから)我々は負け犬(underdog)だよ。Google Cafe*1は結構いい線いっているが外食産業の中では上位1000にも入らない。
Q: MicrosoftのYusuf Mehdiが夕食の席で「Microsoftが負け犬だ。Googleがリーダーだから。」と発言したが。
A: Googleは大規模な買収や提携を実行する力やMicrosoftが持つようなプラットフォームの点ではリーダーではない。しかし技術開発の点ではリーダーであると考えているし、それをとても嬉しく思う。
Q: Yahoo!Microsoftは、プロフェッショナルが作るコンテンツを自ら制作・提供し、それを戦略的に位置づけているが、Googleもそのような方向をめざすのか。
A: 我々はあくまでもコンテンツへたどり着く手段の提供に注力し、自らコンテンツを制作することはしない。株式コードでGoogle検索をおこなうと多くの場合Yahoo! Financeのページがトップに表示される。これはYahoo!と取り決めをしている結果ではない。地図の検索についてもしばしばYahoo! MapやMap QuestのページがGoogleでの検索結果に現われる。ビデオ検索ではビデオ番組をGoogleのサイト上で見ることはできるが、それでもやはりGoogle外で作られた番組だ。
Q: AdSenseのクリック詐欺 *2に対してどのような対策をおこなっているか。
A: 専門の対策チームがあり、完全ではないが十分なレベルの対策が取られている。そもそもAdSenseのクリック詐欺は広告主から見れば、広告をクリックしてWebページを見たが購入に結びつかなかったということでしかない。そして広告主はどの広告がどれだけ購入に結びついたかを把握できる。
Q: ビデオ検索についてどう考えているか。
A: ビデオという形式が重要なのではなく、ビデオコンテンツの製作には金も手間もかかっていることが多く、その結果非常に高品質のコンテンツが多量にあるという事実に目を向ける必要がある。

本エントリの経緯

書く前にLife is Beautifulの「Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方」でGoogleのプロジェクトの企画・開発・提供が行われている様が紹介されていて、それに刺激されたところもある。そちらもとても興味深いのでまだ見ていない方にはお奨めである。
本エントリは最初に公開した時点からかなり加筆・修正している。これはid:rice-addict氏からのフィードバックを受けてのことで、同氏に感謝する。

2005-11-05追記

ZDNetブログにも上記のインタビューの内容がSergey Brin unplugged at Web 2.0と題して紹介されている。

2005-11-12追記

本エントリはもともとは、サーゲイ・ブリンへのインタビューとニューヨークタイムズによるGoogleの広告手法の解説記事の2つを紹介していた。また、表題も「Googleの検索と広告への飽くなき挑戦」としていた。そうするよりはインタビューと解説記事を別々のエントリとし、エントリの名前もそれらに合ったものとするのが何かと便利だろうと思い、広告手法の解説記事の紹介を「ニューヨークタイムズによるGoogleの広告手法の解説」と題する別エントリとした。

*1:Googleの社内食堂。バラエティーに富んだそしてかなりの質の料理を社員に無料で提供している。

*2:インタビューでは単にclick fraudとしか言っていない。