The Real Cost of Gold
On Pointというラジオ番組で表題の内容を聞いた。表題のリンク先でReal MediaおよびWindows Mediaのストリーミングが聞ける。概要は以下の通り。
- 装飾品向けに金の需要が伸びていて、値段が上がっている。金は工業用にも用いられるが現在は装飾用が需要の80%を占める。経済発展に伴い過去1年でインドで47%, 中国11%消費が伸びた。
- 911テロの後、投資対象となることも増え、ヨーロッパ、産油国、ヘッジファンドが買っている。ちなみに世界で最も多く金を保有しているのは米国連邦政府
- 金鉱石の金の含有量は少なく、指輪一つ分の金を得るには金鉱石20トンから30トンが必要である。
- 金の精錬は、鉱石を硬貨程度の大きさに砕き、青酸水溶液に浸して金を溶出させることでおこなう。
- 金鉱石は大きな環境問題を引き起こしている。
- 金の含有量が少ないため他の鉱石にくらべて廃棄物が非常に多い。
- 鉱石は露天掘りされるので、広大な土地を掘り起こすことになる。
- 使われる大量の青酸は再利用される上、青酸はそれほど安定した化合物ではないので、環境に対する影響はそれほど大きくはない。
- より大きな問題は、掘り起こした鉱石から溶け出す酸で、これは我々より何世代かあとに地下水を汚染する。そして、除去は非常に難しい。
- 金採掘は世界の貧しい国でおこなわれていることも多く、その場合は環境への配慮がほとんどなされない。
- 米国内の金鉱山で実際にあったこととして、鉱山が破産して廃物処理に税金を使わざるを得ない状況も発生している。
以上が番組の内容であるが、金以外の貴金属についても同じことが言えるのだろう。綿花の生産に大量の農薬が使われていて(未確認だが世界全体の10%程度だと聞いた覚えがある)現在の綿の値段は生産者の農薬被害の上に成り立っているということとも似ている。
陳腐な言い方ではあるが、経済合理性を超える合理性の尺度が出てきて欲しいものである。