コンピュータ文化の新たな可能性を初音ミクに見た

若い世代にとっては「何を今更」と思われるのかも知れないが、私は、以下の初音ミクの「プロモーションビデオ」を見て、コンピュータ文化の新たな可能性を感じずにはいられない。
D
放っておくとコメントも表示されるので、それがわずらわしいと思うのであれば、右下の部分をクリックすればコメントを表示しないようにすることができる。この動画はYouTubeでも見られ、そちらでも英語で書かれた絶賛のコメントが寄せられている。
初音ミク音声合成ソフトで、歌を歌わせることができる。しゃべりもさせられるようだが、アイドル歌手のように歌わせることが売りのソフトである。
この音声合成ソフトを使った音楽作品が多数作られ、ニコニコ動画でたぶん100曲以上公開されている。既存の曲を歌わせたものもあるが、オリジナル作品も多い。それらの中にはプロモーションビデオと呼べるような動画付きのものもある。上の動画は、見ての通り三次元CGで、この記事を書いている時点で51万回と初音ミクの「プロモーションビデオ」としてはかなりな再生回数となっている。
この曲は最初は曲だけがあって、プロモーションビデオはなかった。そして、初音ミクのソフトのパッケージに書かれた初音ミクの三次元データを作成して公開した人がいた。更に、その曲にインスパイアされた人がその三次元データを使って曲に合った三次元動画を作成したのである。
この曲は最初からニコニコ動画で公開するために作られたのだろう。音声合成ソフト初音ミクはもちろん、ニコニコ動画がなかったら、この曲は生まれなかったと思う。そうやって生まれ・公開された曲に対して別の人が動画を付ける。そうした作品がはてなブックマークなどのソーシャルブックマークやブログで広まり、更に新たな作品や活動をインスパイアする。
インターネット上で、知らない人同士の協力によって何かが作り出され、それがインターネット上で多くの人に利用されるという点で、この作品はウィキペディアに通じるものがあると思う。それがエンターテーメントについて行われたのである。そして、これは始まりに過ぎないのではないか。今後はより高度なツールが提供され、より高度な作品が出てくるのではないか。
というわけで、私は初音ミクにコンピュータ文化の新たな可能性を感じずにはいられないのである。