Gary Cornell - Apress

IT Conversationsで配信されている表題のインタビューを聞いた。Cornell氏はApress(エイプレス)というコンピュータ関係の書籍の出版社のCEOである。もともとは数理科学(number theory)を大学で教えていて、全米科学財団(National Science Foundation)のプログラムディレクターを務め、1998年に出版社を興したという経歴の持ち主である。最近C#の入門書を執筆したとのことで、まさにproducing managerと言える人であろう。
Apressでは編集委員も編集者も科学技術分野の人で、扱う本の内容を理解できる人ばかりなのだそうだ。そして、新しい本を出版するための条件の1つは、編集委員の最低限一人がその本を読みたいと思うことだそうだ。
その他印象に残ったのは以下の点である。

  • インターネットバブルの崩壊でコンピュータ書籍の売り上げは1/4に落ちた。
  • インドで大量の技術者が生み出されており、また、経済成長も続いているので、技術書の売り上げも伸びていくだろう。
  • 従来は需要が高かったAPI参照マニュアルのような本はインターネット検索が充実した今となっては需要が減っただろう。
  • しかし、たとえばスレッドプログラミングについての解説のようなまとまった説明を紙の本で読みたいという需要はなくならない。
  • 音楽を聞く人にとってMP3ファイルで何ら問題はないが、本のデジタルデータは本の代わりにはならない。1000ページの本をコンピュータ上で読みたいと思うだろうか。
  • Javaの停滞の原因は宗教色が強すぎることだ。また、SWTをやめてSwingに移行したのは大いなる無駄だ。
  • C#ECMAで規格化され、Monoが登場するに至り、Javaに比べてよりオープンソースになろうとしている。
  • Java 5.0と.NET 2.0でJavaC#はかなり近づいたがまだC#には値型(value type)などJavaにはない利点がある。
  • Eclipseは素晴らしい。21世紀のEmacsだ。しかし広範に使われるアプリケーションプラットフォームだとは思わない。

Apressの本で日本語に翻訳された本は今のところないよだ。