Google Sitesは共同作業だけでなく個人的活動にもとても大きな恩恵をもたらす
Google Sitesの提供が始まってしばらく経つが、その持つ意味がまだ多くの人には理解されていない気がする。名前からするとウェブサイトを作るサービスに思えるが、これは無料で使えるウィキのサービスである。ウィキペディアで紹介されているウィキサービスを無料で個人で自由に使えるものについていろいろ試したが、その中で群を抜いた出来である。複数のウィキを作ることができ、公開、非公開、公開するが編集は特定の人だけ、のいずれかをウィキごとに選択できる。日本語は検索に若干難があるが、入力・表示にはなんら問題はない。検索の問題も遠からず改善されるだろう。
そして、Google Sitesはウェブブラウザーを通じてサーバー上で動くアプリケーションを使うというパラダイムを更に一歩進めたものであると感じる。
ウィキの便利さ
ウィキは共同作業に使われることが多いが、個人的に使ってもとても便利だ。ブログが日記ウェブサイトを作る道具とすると、ウィキはグループあるいは個人の情報集積ウェブサイトを作る道具だ。ブログは一種のCMS(Content Management System)を考えることができるのと同様にウィキもCMSなのだ。ブログは個人に属することが多いがチームブログもある。ウィキは今のところ共同作業に使われることが多いが、個人で使うこともでき、自分の持つ情報を整理して集積するのに大きな力を発揮する。
ウィキというとウィキペディアを真っ先に思い浮かべるかも知れない。そこではエントリー間にリンクがあるし、ジャンルごとに分かれているが、情報が整理して集積してあるというよりは大量のエントリーが誰でも編集できるかたちで置いてあるという感じがする。Google Sitesや他のウィキはページを階層構造にまとめて整理したウェブサイトにすることができる。
私は仕事でウィキを使うようになって2年ほどである。共同作業のためというよりは、主に自分がかかえる複数の仕事の情報を整理しておくために使っている。分類され階層化されて情報が蓄積されているので、情報が見つけやすいし、情報を残す動機付けも増す。きちんと情報を残すから更に便利さが増す。これに味をしめて私生活でもウィキを使おうとウィキサービスをいろいろ試していたところにGoogle Sitesが始まり、使い始めた。
かく言う私も、本格的に仕事でウィキを使い始める何ヶ月か前に試して一度挫折した。その後に再び使い始め、今度は使い方が飲み込めてちゃんと使うようになった。そういう自分の経験から思うに、仕事でウィキを使うのは使い方が腑に落ちるのに時間がかかることもあるだろうと思う。そして、ウィキの便利さは使わないと本当のところは理解できず、言葉で説明し切れないと思う。
Google Sitesの便利な点
- 他のウィキにもある機能だが、ページにファイルを添付できる。
- 普通のページのテンプレートのほかに表ページのテンプレートもあり、表を作成・編集するのがとても楽だ。普通のページに表を入れることもでき、それもちゃんと編集できる。
- Google Appsの他のアプリケーションと連携できる。たとえばGoogle DocsのスプレッドシートをGoogle Sitesのページに貼り付けることができる。表の編集はやはりスプレッドシートでやるのが便利だ。まだアプリケーション間の連携に改善の余地はあると思うが、それも追って改善されていくのだろう。
アプリケーション間に連携を見るにつけてもインターネットOSというか、インターネット上での作業環境の構築という大きなビジョンのもとにGoogleはサービスの開発を続けているのだという気がする。
パソコン上でアプリケーションが動いて作業をするという従来のありかたに対して、ブラウザー上で動くアプリケーションでは共同作業が自然に行えるし情報のインターネットへの公開も簡単だ。Google Appsのアプリケーション間の連携を実現することで、パソコン上のアプリケーションではとても難しいレベルの共同作業のありかたを可能にしてしまった。GoogleスプレッドシートはExcelに比べておもちゃだというのはまったく的外れで、そもそも両者は似ているだけで本質的には別物であるという念を強く抱いた。
Google Sitesを使うには
Google SitesはGoole Appsの1つとして提供されている。多くのGoogle AppsはGmailを使っていれば使えるが、Google Sitesは組織向けという位置づけで提供されていて、xxx@gamil.comのアドレスを持っていても使えない。Google Appsはxxx@gmail.comとして使うほかに組織独自のドメイン名で使うことができる。現在のところそのときに限りGoogle Sitesが使える。
新たなドメインを取得してGoogle Sitesを使うのはかなり簡単だ。ドメインの取得にクレジットカードで10ドル払う必要があるのと英語が少し読めればいい。
- xxx@gmail.comのアドレスを持っていなければ取得しておく。必須ではないかも知れないが、以下は持っている前提で進める。
- http://www.google.com/a を開く。ページの左上で日本語が選択されているとして話を進める。
- 「小規模ビジネス」の下のアイコンをクリックする。
- ページ右上の「機能比較 お申し込み」をクリックする。
- Standard Editionの「お申し込み」ボタンをクリックする。
- 「ドメインを所有していません」の側に、使いたいドメインを入力して、「使用できるか確認する」をクリックする。
- 使用できなければ前のページに戻って別のドメインを入力し、使用できるのであれば「登録を続ける」をクリックする。
- 必要事項を記入する。メールアドレスとしては@gmail.comのアドレスを入力する。「eNom一般利用規約」を確認の上、チェックして、「同意してGoogle Checkoutに進む」をクリックする。
- @gmail.comのアドレスのパスワードを入力して画面の指示に従う(ここは英語)。クレジットカード番号と住所を入力する。住所は英語で。
- Return to Google Appsをクリックする。
- そのドメインでの自分のアカウントのID・パスワードを登録して「設定を続ける」をクリックする。
- これで登録完了だが、Google Sitesは機能一覧に出てこない。そこで、ページの最初の部分から「ドメインの設定」をクリックする。
- 言語を「English(US)」にし、コントロールパネルを「拡張版」にして「変更を保存」をクリックする。
- ページの最初の部分のDashboardをクリックすればGoogle Sitesが機能一覧に現れる。
これで、Google Sitesが使えるのはもちろんのこと、独自ドメインでGmailも使えるし、そのほかのGoogle Appsも使える。一定の容量までならすべて無料である。