英語の冗談で笑えるようになるには

英語の冗談で笑えるようになるのは、なかなか難しい。感覚の違いで笑えないということもあるが、理解ができないことがしばしばある。
ところでGrammar Girlというポッドキャストがあって、聞いている。一般の英語話者向けに英語を使う上でのヒントを提供している。毎週1回5分と短いが内容は薄くない。内容を書き取ったものがウェブサイトに掲載されているのもいい。
このポッドキャストのウェブサイトにTシャツのバナー広告があった。冗談が書かれたTシャツで、広告にある3枚のTシャツには、それぞれ以下のように書いてある。

  • To infinitives and beyond
  • Don't verbify me, bro!
  • Talk grammar to me, baby.

1番目は、トイ・ストーリーバズ・ライトイヤーがよく言っていた「To infinity and beyond」(無限の彼方へ、その先へ)をもじったものとすぐ分かった。たまたまアメリカ出張中にテレビで放映していたものを見ていたからである。
2番目は、文字通りの意味は分かるが、何でこれが冗談なのかが分からなかった。少し調べたところ、2007年9月にフロリダ大学で起きた事件で有名になった「Don't tase me, bro!」(テーザーなんか使うなよ、おい)をもじったものであることが分かった。
Taserというのは電気ショックを与える護身具の商品名だが、アメリカでKleenexがティッシュ・ペーパーの代名詞であるように、同種の護身具の代名詞である。事件では警察官がTaserを使った。警察官がTaserを使おうとしているのも見て、それは使うな、と取り押さえられた人が発したのが「Don't tase me, bro!」である。broはbrotherがつづまったもので、男性に対する呼びかけの言葉である。Taserという名詞からtaseという動詞(テーザーを使う)が作られていて、これを動詞化(verbification)という。他にはliaisonという名詞から派生したliaiseという動詞がある。
「Don't tase me, bro!」は非常に有名になったので、taseという動詞が2007年の新語として多くの人に認知された。taseについては他のポッドキャストで聞いていたが、その出所については知らなかった。こういう事情なので、taseはまだ辞書には載っていない。
というわけで、「Don't verbify me, bro!」は「俺を動詞になんかするなよ、おい」とTaserが言った言葉ということになる。これが冗談として笑えるには、英語圏で起きた有名な事件については、日本語を通じて知るのではなく、英語で聞き・読んでいる必要があった。
3番目の「Talk grammar to me, baby.」は何が面白いのかまだ分からない。
なかなか道は険しいが、やりがいもある。