Innovator's Dillemmaは個人についてもあるのかも知れない
梅田望夫氏が9月16日におこなった講演で以下のことを言われたことを知った。
一つ前の世代の仕事でいちばん優れた仕事をしていた人たちが、次の世代で最も厄介な存在になってしまう。ここにパラドックスがあって・・・
そういうことは確かにあると思う。そして、これは一種の「The Innovator's Dilemma」ではないかと思った。私はその本を読んだわけではないが、聞くところによるとその内容は:
- 技術革新によって成功した優良企業は、その技術に対する破壊的新技術(destructive technology)が出てくるとそれに対抗できずに淘汰されてしまうことがある。
- それはその企業が優秀であるがゆえに起こってしまう。
- 優良企業はコアビジネスに対して非常に高度に最適化されているからである。それがその企業の優秀さの源泉なのであるが、それは自らの技術およびビジネスに深く依存したものにならざるを得ない。その結果、破壊的新技術を受け付けられないのである。
The Innovator's Dilemmaは組織論なのだが、個人についても言えるのではないか。優れた仕事をした人、成功した人は、その時点での社会・時代・技術・組織などのいくつかに高度に適応していたのだろう。そして、それらの前提が崩れてしまったときには優秀さを発揮できないことがあるだろう。そして、過去の成功のゆえに発言権を持ち、その結果最も厄介な存在になっても不思議はない。