iPod nanoの値段のからくり又はAppleの本気度

iPod nanoの値段(Amazon.co.jpで4G版が2万7800円)はフラッシュメモリの値段を考えると(kakaku.comでの2Gバイトのブランド品SDメモリカードの最安値が2万2724円)すごいと思っていた。そのからくりがLife is beautifulのエントリを読んで納得できた。

発表前から、ウォールストリートでは「アップルはSamsungNAND型フラッシュメモリーのラインの40%を押えたらしい」と話題になっていたが、 Samsungが世界のNAND型フラッシュメモリー市場の55%を生産していることを考えれば、この数字はすごい。つまり、アップルは世界のNAND型フラッシュメモリーの22%をiPod nanoだけのために確保したのである。

そして、Steve Jobs to Studios: I Got the Power!というブログのエントリにあるiTunesに関する分析が興味深い。

the real message (注:Steve Jobsの) was directed at his current and potential suppliers (music, movies, components), partners (Sony, Nokia et al), and competitors (Sony, Microsoft et al).

What was his message to these colleagues?

I buried the competition.

iTunes + iPod is the only digital content distribution platform that consumers are actually using (globally too). I have a monopsony on digital content distribution.

デジタルコンテンツの流通においてiTunesiPodが、コンテンツ製作者に対してmonopsonyの状態になったというのである。monopsonyというのはmonopoly(独占)の反対で、買い手が1人だけで、買い手が主導権を握っている状態を指す。monopolyでは売り手が1人だけで、売り手が主導権を握っている。
アップル社は最近は収益の多くをiPod関連の事業から上げているのだと思うが、その傾向がもっと顕著になるのかも知れない。ソニーが収益構造から見ると家電の会社というよりはPlayStationの会社となっている以上に、アップル社はiPodの会社となるのかも知れない。

2005-09-20追記

BroadBand Watch編集部ブログに以下のように書いてあるのを見つけた。

サービスや両社の今後の展開を考えると、私には圧倒的にソニーの話*1が興味深く思えました*2

iTunes + iPod is the only digital content distribution platform that consumers are actually using」と思える現在の状況ではソニーの前途は多難だと思える。iTMSは今は登録顧客数ではAmazonに次ぐ世界第2のインターネットショップなのだし。現在まだiTunes + iPodが浸透していない国や地域は人口ではかなりの数に上ると思うので、まだゲームを終わっていないとは言える。そういう国や地域へ浸透するのにソニーAppleに対して有利な点はあるだろうか。

*1:Walkman Aの新製品のこと

*2:iPod nanoと比較して