量子論はいかに生み出されたか

Quantum: Einstein, Bohr and the Great Debate About the Nature of Reality (English Edition)

Quantum: Einstein, Bohr and the Great Debate About the Nature of Reality (English Edition)

Quantum: Einstein, Bohr and the Great Debate About the Nature of Reality(邦訳:量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突)を読んだ。本書は科学史的読み物であり、数式はほとんど出てこない。全体としては量子論の誕生から2007年までを描いているが、その間を網羅的に書いているのではなく、題名が示すようにボーアとアインシュタイン量子論へのかかわりに多くの紙面が割かれている。アインシュタインはその生涯を通じて研究活動に費やした時間は、相対性理論よりも量子論のほうがずっと多いそうだ。
私には、19世紀終わりから20世紀初頭にかけて、量子論が誕生し確立して行く過程が、プランク、ボーア、アインシュタイン、パウリ、ド=ブロイ、ハイゼンベルクシュレディンガーなど高校の物理の教科書にも出てくる物理学者たちの経歴や活動を通じて、2度の世界大戦やナチスの台頭などの社会情勢とともに描かれているのが興味深かった。少なくとも高校の物理ではそれらの人々の研究の結果を学ぶだけで、理論が生まれる過程は学ばないから。