「利己的な遺伝子」と宗教の共通点

IT Conversationsでミームと「利己的な遺伝子」 との共通点についての講演を聞いた。

利己的な遺伝子」というのは、1976年に発刊された同名の本で述べられたことがらで、生物は遺伝子が自分のコピーを残すために存在している、という考え方である。講演者は、こういった遺伝子に対する捕らえ方を、より広く、コピーが大量に作られるもの全般に広げ、人間の習慣・嗜好・思想などにも当てはまるのという論を展開している。これらを総じてミームと呼んでいる。人間の思想は多くの人を経て、場合によっては1000年単位で広がり、発展していく。これは遺伝情報と似ている。

講演者は更に宗教に話を進める。もっとも大規模にかつ長期間に渡って人から人へと伝わり、少しずつ変化していっているものとして宗教を挙げているのである。宗教は長期間のうちに、多くの人を経て発展・変化している。長い歴史を持つ宗教の教義・儀式は誰か1人が作り上げたものではない。

宗教に対するこのような見方を私は新鮮に感じた。そして、講演者は、このように宗教の有り方を捉えることを通じて、宗教から脱却することを言外に薦めている。たとえば無神論者が多い北欧や日本では犯罪率も低く、総じて社会がいい状態にあることを挙げている。

講演者はイギリス出身で、ティーンエージャーの子供に神を信じている人を知っているかと聞いたところ、息子はクラスに1人、娘はクラスに2・3人と答えたそうだ。