MIT製のコンピュータ制御の精密工作機械セット「ファブラボ」

マサチューセッツ工科大学(MIT)のビット原子センター(The Center for Bits and Atoms)は、レーザーカッターや精密研磨機などの精密工作機械をセットにし、全体をコンピュータ制御にした「ファブラボ」(Fabrication Laboratory略してFab Lab)を開発している。ファブラボは工業製品のプロトタイプを作るための機材をセットにしたものと言える。ファブラボのセットのコストは2万米ドルほどで、研究の一環として同センターはインドやガーナ、北極圏などに提供しており、Wired Newsに2004年9月10日付けでファブラボの紹介記事が出ている。Wired Newsでは2005年11月にも取り上げており、日本語の記事はここで読める。

IT Conversationでファブラボの講演が配信されている。2005年10月のPOPTech 2005でのものである。講演者のファブラボ主唱者はファブラボを工業インフラが整っていないところに配置して、デジタルデバイドならぬ工業化デバイドを埋めるということをめざす活動をしている。その中で得た知見として、自己表現の手段として、自分だけのためのものをファブラボで作る、という人が場所を問わず見られたことが紹介されていた。そして、講演者はファブラボをミニコンピュータになぞらえている。ミニコンピュータメインフレームだけの時代に比べてコンピュータをより身近にした。ファブラボにより、従来は個人では不可能だった種類のものづくりが身近にになった。近い将来、個人向けのファブラボができるかも知れないとも講演の中で述べている。